【片恋パズル】2話2024年02月09日 22:00

〇チェーン店の中華料理店・店内(夜)
鮎沢と一果、双葉がテーブル席に座っている。
3人、メニューを見ながら入口の方を気にしている。
鵜月原、店に入ってきて鮎沢たちを探す。
鮎沢「あ、ウッキー」
鮎沢、鵜月原に気付いて手を上げる。
一果と双葉、鵜月原に会釈をする。
鵜月原、テーブルに着く。
鵜月原「ごめん、待たせた」
鮎沢「俺らも今来たとこ。さ、座って」
鵜月原が座ると後ろから来た店員が水を置く。
鵜月原「もう頼んだ?」
鮎沢「まだ。一緒に頼もうと思って」
鵜月原「そ。シンは?」
鮎沢「俺はチャーシュー麺と餃子」
鵜月原「じゃあ俺も同じで。一果ちゃんと双葉ちゃんは?」
一果「え?」
鵜月原「ん?」
一果「あ・・下の名前で呼ばれたからちょっとびっくりしただけです・・」
鵜月原「あ、そっか。ごめん。馴れ馴れしかった? 苗字の方がいい? あ、そうか。シンは苗字で呼んでるからね」
一果「あ、いえ全然大丈夫です。名前で呼ばれた方が嬉しいかも」
鮎沢「じゃあ俺もこれから相原のこと、一果って呼んでいい?」
一果「あ~うん、いいよ」
一果、照れたように笑う。

〇道(夜)
鵜月原、鮎沢、一果、双葉、歩いている。
鮎沢「ウッキー、ごちそうさま~」
一果「ウッキーさん、ごちそうさまでした!」
双葉、お辞儀をしている。
鵜月原「良かったよ~ 一果ちゃんと双葉ちゃんに喜んでもらえて」
鮎沢「割引券も使えたし! まだまだ行けるな〜」
鮎沢、割引券を一果に向かってヒラヒラさせる。
一果「もう!」
一果、鮎沢を軽く叩く。
鮎沢「イテ!」
鮎沢、大げさに痛がって見せ、笑う。
双葉、通り沿いのカフェを見つけ、店の中を見ている。
鵜月原、双葉の視線を追う。
鵜月原「あのカフェ入らない?」

〇カフェ・店内(夜)
鵜月原、鮎沢、一果、双葉、ソファ席に座っている。
店内は薄暗く、低めのテーブルにはキャンドルが置かれている。
ナチュラルなインテリア。
あちこちに観葉植物が置かれている。
店内は女性同士かカップル。
双葉、店内を興味深そうに見て嬉しそうにしている。
鮎沢「こういう店、俺苦手」
一果「え? なんで?」
鮎沢「だってメニューの名前見てもよく分からんし、頼んで出てきたもの食っても全然食った気にならんし」
鵜月原「シン、お前それでフラれたんだろ?」
鮎沢「それでか分からんけど、こういうとこでメシ食った後、『食いなおそう』って定食屋行ったらブチぎれられた」
一果「え? 鮎沢って彼女いたの?」
鮎沢「俺こう見えてもモテるんだぜ」
鵜月原「すぐフラれるけどな」
鮎沢「そうなんだよ。向こうから『付き合って』って言ってくるんだけど、2~3か月経つと『つまんない』『そんな人だと思わなかった』ってさ。あ~もう全然わからん」
鵜月原「一果ちゃんなら分かるでしょ」
一果「うん、なんとなく・・今の定食屋エピソードで」
鮎沢「マジで? 双葉ちゃんもそう思う?」
双葉、苦笑い。
鮎沢「うわ! なんか今すっげえ傷ついた・・」
店員が水とメニューを置く。
店員「お決まりになりましたらお声がけください」
メニューを見るとコーヒーも紅茶も詩的な形容詞がついている。
鮎沢「ほら、だろ? 見ても分からんし」
鵜月原「こういうのは迷うのが楽しいんだ。見ろ、双葉ちゃんを」
双葉、楽しそうに何度もメニューをめくり、またページを戻し、見ている。
鮎沢「すげー」
鵜月原「じゃあ、シンも見るか?」
鮎沢「いい。ウッキーと同じのにする」
X X X
店員、トレーにカップを乗せて歩いてくる。
店員「お待たせしました」
双葉と一果のカップにはハート形のラテアートが施されている。
鮎沢「なに、それ? そんなのメニューにあった?」
一果「あったよ〜。見てないな~」
双葉、嬉しそうに写真を撮っている。
鮎沢、双葉の笑顔を見つめる。
X X X
一果「ところで鵜月原さんの仕事って?」
鵜月原「不動産の営業」
鮎沢「そうそう、ウッキーとはそれで知り合ったんだよね」
一果「え? そうなの?」
鮎沢「そう。俺、大学の寮に入ってたんだけど、うちの大学の寮、2年で出ないといけなくてさ・・」

◯回想・不動産会社・店内(2ヶ月ほど前)
鮎沢、入ってくる。
鵜月原、立ち上がり、
鵜月原「いらっしゃいませ。どうぞ」
鵜月原、椅子を勧め、鮎沢が座る。
鵜月原も座る。
鮎沢「あ~、賃貸の部屋を探しているんですが」
鵜月原「賃貸ですね。では、こちらの受付票にご記入お願いします」
鮎沢が記入している内容を鵜月原確認し、パソコンで部屋の情報を出力する。
X X X
鮎沢、物件情報を見ている。
鵜月原「いかがですか? こちらのアバンティなんかは、一番ご希望に近いとは思いますが」
鮎沢「うーん・・やっぱちょっと考えます。あ、これもらってっていいですか?」
鵜月原「はい。もちろん」
鵜月原、物件情報を封筒に入れ、鮎沢に渡す。
鮎沢、お辞儀して出て行く。

◯回想・歩道橋(日替わり)
老女(70くらい)、杖をつき、反対側の手で買い物袋を持って階段をゆっくりと上がっている。
時々膝をさすっている。
鮎沢、階段から小走りで降りて来るが、老女に気づき、声を掛ける。
鮎沢「あの、よければ荷物持ちましょうか?」
老女「ありがとう。膝が痛くてね。年だから仕方ないんだけど・・」
鮎沢「ちょっとだけすみません」
鮎沢、電話をかける。
鮎沢「みのる、ごめん。今日急用が出来てちょっと遅れるわ。あ~多分1時間位。ごめん」
老女「あら、用事があったの? ごめんなさいね。私はいいから行って」
鮎沢「いえ、もう電話しちゃったんで。大丈夫です。さ、行きましょ」
鮎沢、しゃがんで老女に背を向ける。
老女「え?」
鮎沢「あ、お姫様抱っこみたいなヤツのほうがいいですか?」
老女「あらやだ、お姫様抱っこなんて。ありがとう。じゃあ・・」
老女、鮎沢の背に乗る。
鮎沢、老女を背負ったまま立ち上がり、買い物袋を持つ。
鮎沢「じゃあ行きましょう」

〇回想・歩道橋下の道
鵜月原、歩いている。
声がする方を見ると鮎沢が老女を背負い降りてくる。
鵜月原、立ち止まる。
鵜月原「あれ? あの子確か・・」
老女「ありがとう。シンくん。私みたいなおばあちゃんを家まで送ってくれるなんて。本当にいい子ね」
鮎沢「いえ、普通です。僕のお祖母ちゃんも膝が悪くていつも痛そうなんで。あ、この後どっちですか?」
老女「あ、ここまででいいわ。あとは階段じゃないから大丈夫」
鮎沢「ここまで来たらついでに送らせてください。僕は大丈夫なんでどっちか教えてください」
老女「あらそう? ありがとう。じゃあ、あの横断歩道を渡って右」
鵜月原、鮎沢の姿を見つめる。

◯回想・バス停前の道(日替わり)
鵜月原、歩いている。
バスが止まり、鮎沢がベビーカーを持ちながら降りてくる。
鵜月原「またあの子・・」
鮎沢の後から子供を抱いている女性(30くらい)が降りてくる。
鮎沢、ベビーカーを広げる。
女性「本当に助かりました」
鮎沢「いえ、僕も子供好きなんで、手伝わせてもらえて勉強になりました。じゃあ」
鮎沢、子供に向かって手を振り、再びバスに乗り込む。
バスのドアが閉まり、女性がお辞儀をしている。
鵜月原、鮎沢の姿を見つめる。

〇回想・不動産会社・店内(日替わり)
鮎沢、入ってくる。
鵜月原、立ち上がり、
鵜月原「どうぞ」
鵜月原、椅子を勧め、鮎沢が座る。
鵜月原も座る。
鵜月原「どうでした? あれから私の方でもいくつかメールで物件ご紹介させていただいたのですが・・」
鮎沢「あ、すみません。返信してなくて。あの・・あれから色々調べたんですが・・シェアハウスとかってあったりします?」
鵜月原「シェアハウスですか・・」
鮎沢「やっぱり家賃が・・あと、家具も用意しなきゃいけないし、安いところだと駅から遠いんで・・シェアハウスだったらちょうどいいかなって思って」
後ろに座っている先輩、鵜月原に耳打ちする。
鵜月原「申し訳ありません。そういった物件だとこちらでは紹介ができかねまして。例えばそうですね・・ご友人と一緒に住むというのはいかがでしょう? 寮を出る必要があるのは、同学年の方も同じですよね?」
鮎沢「あ、確かに」
鵜月原「でしたら家賃も折半できますし、ご紹介できる物件もあるのですが・・」

〇回想・賃貸マンション・室内
鮎沢、ベランダから外を眺めている。
鮎沢「なるほど~ 確かにありかも」
鵜月原「気に入っていただけましたか? ここでしたら駅からも徒歩圏内ですよ」
鮎沢「そうですね。あの、鵜月原さん、色々ありがとうございました。ちょっと友人と話してみます」
鮎沢、振り返り鵜月原に微笑みかける。
鵜月原、鮎沢の笑顔に見とれる。
鵜月原「あ・・」
鮎沢「あ・・」
鵜月原のシャツに血の染み。
鵜月原、慌ててハンカチで鼻を押さえる。
鮎沢「だ、大丈夫ですか?」
鵜月原「大丈夫です。すみません」

〇回想・マンション・501号室・玄関
鵜月原、ハンカチで鼻を押さえたまま立っている。
鮎沢、鵜月原に確認しながら、鵜月原の鞄から鍵を出しドアを開けている。

〇回想・同・同・リビング
鮎沢、ソファに座っている。
鵜月原、入ってくる。
新しいシャツに変わっている。
鵜月原「すみません。鮎沢さんにご迷惑おかけして」
鮎沢、立ち上がる。
鮎沢「迷惑なんてとんでもないです。でも鼻血、止まってよかったです。びっくりしました」
鵜月原と鮎沢、顔を見合わせて笑う。
鵜月原と鮎沢、見つめ合う。
鮎沢、目をそらして部屋を眺め
鮎沢「あ・・鵜月原さん家、いい部屋ですね。俺もいつかこんな部屋住めるように頑張ろうっと」
鵜月原、鮎沢を見つめたまま
鵜月原「じゃあ、ここで一緒に住みますか?」
鮎沢「え?」
鵜月原「(早口で)あ、その、そこの部屋も空いてるし、君一人くらいなら。あの、俺も仕事でいない時間多いから、気を遣わなくていいし・・」
鮎沢「あ・・」
鵜月原「(早口で)さっきの部屋、気に入ってたみたいだけど、もし一緒に住む人これから探すんだったらさ。あ、もちろんもう決まってるんだったら全然いいんだけど・・」
鮎沢、鵜月原をあっけに取られた様子で見つめ、笑う。
鮎沢「そんなに一気に話されたら、俺、何も言えないじゃないですか? ていうか、いいんですか? 俺なんかと一緒に住んで」

〇カフェ・店内(夜)
鮎沢「ていうわけ」
一果「へぇ~すごい。そんなことってあるんだ?」
鮎沢「え? 一果は? なんであのマンション住めるの? 家賃高いだろ」
一果「あ~、私たちは会社の借り上げ社宅なの」
鵜月原「あ、そうなんだ? いい会社だね」
一果「はい。それもあって今の会社にしたんですけど。だからあのマンションは会社が借りてくれていて、私たちは毎月お給料から社宅料を引かれてるんです。え? でも私たちは会社に補助してもらってるから住めるけど、ウッキーさんすごいですね」
鵜月原「あ~ あそこはうちのマンションだから」
一果と双葉「?」
鮎沢「あのマンション自体がウッキーん家のものなの。それにさ、UTグループって、ウッキーん家の会社。鵜月原でUT」
一果「え~~~!? じゃあ、こんなとこで餃子食べてちゃいけない人じゃん」
鵜月原「何それ。差別。普通に食べるし」
一果「あ、じゃあ不動産営業って? そんなのしなくてもいいんじゃ・・」
鵜月原「いやいや、そういうのも知っとかないといけないでしょ。創業家っていっても意外と地味なもんだよ。ほら、割引券も使うし」
双葉、驚いている。
一果「びっくりした・・心臓バクバクしてる」
鮎沢「だろ。ウッキーに『家賃は1万円でいいよ』って言われて、『そういうわけにいかない』って言ったら教えてくれた」
一果「信じられない・・」
鮎沢「すげーよな」
一果「いや、鮎沢の図太さに。あの場所あの部屋で1万円でいいわけないじゃん! バカなの?」
鮎沢「ウッキー・・バカって言われた・・」
鵜月原「よしよし・・いいんだよ。シンは1万円で。君は学生なんだから・・」
一果「・・世の中って不公平・・」

◯食品工場・食堂
一果と双葉、真理子と美保が座っている。
一果「美保さん、真理子さん、カフェメニューダメでした」
美保「え? なんで?」
一果「想像以上に中学生のままでした・・」
美保「ごめん、何言いたいか全然分かんない。分かる?(真理子を見る)」
真理子「あ~つまり、中学生っぽい子供向けのメニューがお好みってこと? カフェメニューだとおしゃれすぎるってことか」
一果「そうなんです。お気に入りの弁当屋で『唐揚げ君』てあだ名がつくくらい、唐揚げ弁当ばっかり買ってた理由がちょっと分かった・・」
美保と真理子、大笑いする。
一果「顔、カッコいいんです。体もいいんです。でも中身が・・子供過ぎる。告白されて付き合っても、すぐにフラれるんですって。カフェでランチした後、物足りないから定食屋に行くような人だったんです。どうしよう・・好きなのかよく分からなくなってきた・・」
美保と真理子、顔を見合わせ微笑む。
美保「いい、一果ちゃん。それは原石よ。磨けば必ず光るから。本当に好きな子に出会うと、化けるわよ~」
一果「そんなもんですか?」
美保「そうそう。結婚相手にするならそういう子がいいと思う。磨く手間はかかるけどね」
一果「じゃ、じゃあ、次の作戦は? カフェメニューじゃないとしたら?」
真理子「うん、そういう子だったら喫茶店メニューとかは? 昭和レトロな感じの。豚の生姜焼き定食とか、ナポリタンとか? カレーもいいわね。おしゃれなのはダメよ。昔からある感じの。分かる?」

〇マンション・501号室・キッチン(日替わり・夜)
一果と双葉、ナポリタンを作っている。

〇同・同・リビング
足立と鮎沢、ソファに座りゲームをしている。

〇同・同・ダイニング
ダイニングテーブルの上にランチョンマット。
その上にナポリタンとサラダが乗っている。
鮎沢「え~すげえじゃん! うまそう!」
足立「すいません、僕も便乗しちゃって」
一果「ううん。作る手間、変わらないし!」
全員、ナポリタンを食べる。
鮎沢「そうそう。こういうの! 旨いよな~」
足立「はい! これ、バター入れてますよね? コクがあって旨いです」
一果と双葉、顔を見合わせて微笑みながら頷く。
鵜月原、入ってくる。
鵜月原「ただいま~ あれ、いい匂い。ナポリタン? 美味しそう」
一果、立ち上がりながら
一果「あ、おかえりなさい。ウッキーさんのもありますよ。食べます?」
鵜月原「え? 嬉しいな。ありがとう。食べる食べる」
X X X
全員、楽しそうに食べている。

〇同・同・リビング
テーブルの上にジグソーパズルが広げられる。
白一色のパズル。
足立「みんなでやりませんか?」
一果「え? 何これ。ジグソーパズル?」
足立、ジグソーパズルのパッケージを見せる。
『ホワイト地獄』と書いてある。
足立「友達6人、チャレンジしたんですけど誰も完成させられなくて、まさに地獄らしいです。お前も地獄行ってみろって渡されました」
全員、ジグソーパズルのピースを拾い眺める。
鮎沢「ふ~ん、でも白いだけだろ。角からやってけばできるんじゃね? 5人もいるんだし」
足立「ですよね? じゃあまず角のピースを集めましょう」
X X X
双葉以外の全員、ぐったりしている。
パズルはほとんど完成していない。
足立「もう・・見たくない」
一果「地獄・・本当に地獄だった」
鮎沢「角っていってもシロだとマジでわかんねぇ・・」
鵜月原「双葉ちゃん・・疲れない? ちょっと休んだら?」
双葉、鵜月原の方を見てニヤリとする。
鵜月原「え? なに?」
鵜月原、体を起こしてパズルを見る。
枠が完成している。
鵜月原「すごいじゃん!」
足立、鮎沢、一果、体を起こしてパズルを見る。
一果「双葉! あんたこんな才能あったんだ?」
足立「双葉さん、マジリスペクトです」
鮎沢、得意気に微笑む双葉を見つめる。
鵜月原「じゃあこれ、あそこにずらそうか? 双葉ちゃん、いつでも来てやっていいよ」
鵜月原、窓際のビリヤード台を見る。
双葉、嬉しそうに頷く。
足立「じゃあ壊さないようにお盆か何かに乗っけて動かしましょうか?」
鮎沢「お盆なんてうちにあったっけ?」
鵜月原「じゃあこれは?」
鵜月原、壁に掛けてある絵を持ってくる。
鵜月原「今度、このジグソーパズル用にフレーム買っとくよ」
双葉、嬉しそうに頷く。
全員、絵のフレームにジグソーパズルの枠を移していく。
鵜月原と双葉、同じピースを触り、双葉、手を引っ込める。
鵜月原「あ、ごめん。双葉ちゃん。俺、引っ掻いたりしてない?」
双葉、顔を赤くして首を横に振る。
鵜月原「なら良かった」
全員、作業を続けている。
一果「こんなにたくさんピースがあるのに、全部形が違うってすごいよね」
鮎沢「そうそう、形が似てる奴だったらハマるかな~って思ったんだけど、無理だった。考えた人すげーよな」
足立「確かに。無理矢理入れたら飛び出すんですもん」
X X X
(フラッシュ)
足立、パズルのピースを無理矢理はめ込もうとする。
一瞬ハマるが、他のピースをはめた途端、飛び出してバラバラになる。
X X X
足立「あればビックリしましたよ~」
一果「もう、無理に入れるから!」
鮎沢「そうそう。なんならちょっとあのせいで角が欠けたもんな~ それで双葉ちゃんに怒られてるし」
全員、笑う。

〇同・502号室・リビング(夜)
双葉と一果、パジャマ姿でくつろいでいる。
一果「今日楽しかったね。ナポリタン手伝ってくれてありがとう」
双葉、スマホを操作し、一果に見せる。
双葉の画面『ナポリタン、鮎沢君喜んでくれてよかったね』
一果「うん! おしゃれなカフェメニューにしなくて本当に良かった。ところで双葉は? ウッキーさんといい感じだったじゃん」
双葉、照れて笑い、スマホを操作し、画面を一果に見せる。
双葉の画面『ウッキーさん、いい人だね』
一果「じゃあ、双葉はウッキーさんと両想いになれるといいなぁ」
双葉、慌てて首を横に振る。
双葉、スマホを操作し、画面を見せる。
双葉の画面『そんなんじゃ、ないよ。きっと迷惑』
一果「そんなわけないじゃん! 一緒に頑張ろうよ。で、ずっと一緒にいよう。このマンションでさ。4人一緒に暮らそ。楽しそう~」
一果、目を輝かせる。

〇同・501号室・リビング(夜)
鮎沢、ジグソーパズルを見つめている。
風呂から出た鵜月原、鮎沢に気付く。
鵜月原「シン、まだいたんだ? ジグソーパズル? 続き気になってる感じ?」
鮎沢「あ~うん。まあ。なあ、ウッキー、話せない子と付き合ったことある?」
鵜月原「いや、ないけど・・双葉ちゃんのこと?」
鮎沢「やっぱ話せないと色々不便だよな」
鵜月原「う~ん、よく分かんないけど、少なくとも一果ちゃんはコミュニケーション取れてるわけだから、慣れなんじゃないの? それに俺は別に不便とか思ってないし」
鮎沢「え? そうなの?」
鵜月原「大体顔見れば何考えてるか分かるじゃん」
鮎沢「何それ。特殊能力?」
鵜月原「いや、シンが観察しなさすぎなんだよ。よく見てれば分かるよ。困ってるとか、喜んでるとか、ほら、今日パズル、みのるがしくった時、怒ってたのは分かっただろ」
鮎沢「ああ、あれはさすがに」
2人、笑う。
鵜月原「気になってるのはパズルじゃなくて双葉ちゃんのことだったか。うまくいくといいな」
鮎沢「ちが! そういう意味じゃなくて、友達としてもっと仲良くなれればって思ってるだけで・・」
鵜月原「分かってるからごまかさなくていいよ! 恋愛の意味だろ」
鮎沢「だから違うって!」
鵜月原「まあ頑張れ! おやすみ」
鮎沢「ああ、おやすみ」
鵜月原、部屋に入っていく。

〇同・同・鵜月原の部屋(夜)
鵜月原、入っていく。
ドアを閉め、ため息をつく。

〇同・502号室・双葉の部屋(夜)
双葉、ベッドに寝転びながらスマホを見て微笑んでいる。
画面には鵜月原の写真。
X X X
(フラッシュ)
こっそり鵜月原の写真を撮る双葉。
X X X
鵜月原の写真を拡大し、画面にキスをしている。

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